小児慢性特定疾患のキャリーオーバー研究班

平成23年度厚生労働科学研究(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)小児慢性特定疾患のキャリーオーバー患者の実態とニーズに関する研究班

研究成果

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結果の概要

次の各分担研究を実施しました。

  1. キャリーオーバー患者家族調査
  2. 49歳以下の国保被保険者における小児慢性特定疾患受診状況分析
  3. キャリーオーバー患者の医療費負担把握のためのレセプト情報の活用と小児慢性特定疾患助成の対象外となる直前の医療費の状況
  4. 患者調査個票によるキャリーオーバー患者数推計
  5. 年齢階級別受給者数からの外挿によるキャリーオーバー患者数の推計

研究の結果、キャリーオーバー患者の医療費自己負担(年額)は、中央値3万6千円でした。20万円以上の患者が9.5%に見られました。また医療費自己負担(年額)が20万円以上で、所得(等価所得、年額)が150~250万円の患者では経済的に苦しいとの回答が84.2%に達しました。

国保レセプトによる受診者一人あたり点数では、血液及び免疫、循環器系の疾患、尿路生殖器系疾患で平均値が高額でした。小慢給付データでは、その他の酵素欠損、第IX因子欠乏症、遺伝性腎炎、成長ホルモン分泌不全性低身長症で月当たりの小慢給付額と自己負担額の合計の中央値が5万円を越えていました。

キャリーオーバー患者のストレスや悩みの原因として自分の仕事に関するものが 47.5%と最も多い結果でした。また、退職・転職した患者において、雇用先に必要であった配慮として、休暇・短時間勤務、職務内容、医療、職場内における相談支援体制などの意見が多くみられました。

以上の結果から、疾患名を指定したキャリーオーバー患者全てへの一律の医療費助成の必要性は必ずしも高くないですが、高額療養費制度等の充実・制度の啓発、また就職及びその後の職場での支援の強化が重要であると考えられました。

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